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理事長ブログ

NPO法人(4年目の活動に入りました)
次世代技術者育成アカデメイア 
PLATON(Project of Learning Academy on Technology for Next-generation engineers)

「日本の技術者が、正しい知識と深い情熱で国を動かし、世界を変えていくべきだ」

<設立趣意>

 現代の日本は、30年前の「技術大国」時代の国際競争力は失われ、他の東アジアの国々に「技術力」で凌駕されかねない状況です。これは、これまで国家として適切なルール形成を行わず技術を保護できなかったこと、企業が人材活用・育成のための長期的なプランを立案・実行できなかったことなど原因は考えられますが、技術者自身が、次の世代のために、世界に通用する技術力を維持・発展・継承するための教育環境を構築できなかった点が大きいと思われます。

 この状況に政府は、小学校からのプログラミング教育や社会人が無料で学びなおせる教育教材の支援を始め、大学や企業では実習・実践を中心とする研修を強化しておりますが、教える側で情熱ある人材が十分集められないこと、優良な教育コンテンツを作成し続ける人的工数・資金が確保できないこともあり世界との距離は開く一方であると認識せざるを得ません。

 また、次世代の技術者教育の要素としては、アート(直感)とサイエンス(分析)とクラフト(経験)のバランスをとり、技術イノベーションを成功させるべきとの経営学者のミンツバーグ教授の提案や、「デザイン思考」、「アート思考」など受益者・利用者の視点に立って本質的な技術開発や製品づくりを提案する書籍が好評で、これを学ぶ研修も開催されております。これらのめざすべき方向は正しいと思われますが、技術者にとっては、概念の提案にとどまっており、十分に具体化されておらず、技術者教育や現場で実際に利用できるレベルになっていないのが現状です。

 この状況を打開するためには、現在の技術者が、国を動かし、世界を変えていくほどの大きな気概をもって、次の世代の技術者を育成することのできる環境を構築することが必要です。

 そこで、本NPO法人は、

企業の現役技術者、企業を退職した技術者、技術者をめざす学生、技術に興味を持つ一般市民を対象として、

左脳を中心とする技術のみならず、右脳を中心とするアートの融合を促進する次世代技術者育成のための学園(アカデメイア)事業を行うことで、

楽しみながら効率的に学び、日本人のオリジナリティーを発揮し、現実の社会で新しい価値を生み出し、次世代の情報化社会構築に寄与することを目的とします。

 具体的な、一つ目の事業は、対話型課題解決研修の提供・実施です。これまでの国、企業、各種団体におけるIT(情報技術)・IoT(モノのインターネット化)教育は、講師が事前に課題と解決法を用意し、受講者が与えられたヒントをもとにパズルを解くように答えを見いだし、演習後、講師が自分の解決策と比較しコメントするといった形式の、主に「左脳」を使う論理主体の教育が中心でした。一部、研修者が課題を設定し、アイデアを案出しながら課題を解決するものもありますが、この場合講師は、「よくできました」程度のコメントにとどまることが多いと思われます。これらでも一定の教育効果を期待できますが、受講者が、現場での課題を解決するための実践的な力をつけるための充実した時間となってるかという点では疑問が残るものでありました。そこで、本NPO法人では、「左脳」に加え、直感や美意識、感動など「右脳」を鍛えるためにはどのような研修が好ましいかを模索し提供していきます。手始めは、対話を研修に盛り込むことから開始します。初年度は、技術研修の改良から開始します。つまり、研修者が持ち寄った課題や過去の成果を参照しながらメンバ内で、課題の抽象化や本当に課題として取り上げるべきか、誰が喜ぶかを対話を通して十分に議論し自分たちのゴールを設定し、他のチームや講師と共有します。次に、課題を解決するためのアイデアを案出し、自分たちで検証し、失敗しながら、ゴールを含めて見直します。この過程では、講師とチーム間でオープンに記録を残しながら対話を行い、なぜ変更しなければならなかったかを本質に立ち返って議論します。この過程でアートの要素を組み入れます。つまり、自分たちは何をしたかったのか、本当に伝えたいものは何か、ゴールまでにどんな制約があり、それをどう取り除くことができるかを考えぬくことによって、ゴールとアイデアをブラッシュアップします。これによって、オリジナリティーのある、充実感あふれる研修とできるわけです。これを足掛かりに、技術者のための右脳開発講座として、「美術」、「俳句」、「小説」などを取り上げ、技術開発にアートを取りこむメリット、成功例を蓄積していきます。

 次に、教材・ノウハウ提供事業においては、アートの発想を活用したハードウエア、ソフトウエア、関連資料などの教材を提供します。まずは、技術教材の改良から取り組みます。つまり、従来の講義資料では、研修者全体への網羅的知識の提供をめざしているため、個別の研修者には重要度の低い説明や資料が多く、さらにそれらが統一感なく切り張り的に配置されているため、研修者にとって何に重点を置いて学べばよいか戸惑うことが多くありました。本NPO法人では、いくつかのストーリに基づいて、全体の統一性、一貫性、訴求性を確保し、リアリティーある教材を提供します。これは、左脳を中心とする論理主体の技術教材を、右脳を中心とする直感、感性、美意識、創造性、ビジョン、哲学、文学などアートの発想をベースにして組織化することにより、講師にとって講義しやすく、受講者にとって理解しやすい構成とします。また、統一性を確保するために、網羅性は犠牲にしておりますが、必要な部分は受講者がWebで調査すればよく、また思い違いなどで失敗することも、重要な教育の一つとして考えております。この教材は、研修者が技術の習得する際に利用いただくだけでなく、講師が講義するための教材にも利用でき、講義する際のノウハウも提供します。これを手始めに、アート関連の手法を技術者の視点で活用し、右脳開発のための教材作成を充実させていきます。
さらに、セミナーやハッカソンの開催事業においても、従来のセミナーやハッカソンにアートの要素を導入します。従来のセミナーでは、多数のパソコンにソフトウエアをインストールしておき、講師の指示でIoT機器との接続操作する形式的な、一方向的な形態でしたが、本NPOのセミナーでは、各自の持参したスマホやパソコンで、身近な便利ツールを作り出すことを目的とし、これを参加者間で共有することで創発を促進します。また従来のハッカソンでは、大掛かりなハード・ソフト開発環境を準備し、高い知識のある技術者が集まり、その場でアイデアを具現化するという形式が主流でしたが、本NPOのハッカソンでは、専門家のみならず一般市民からのニーズやアイデアを事前にオンラインで共有し、試作すべき部分を絞り込んで、効率的にソフトウエアやシステムの開発し、市民に成果を評価してもらう形態とします。このため、専門家でない方も、ハッカソンに楽しく参加してもらうことが可能です。また、アートと技術の融合に対する成功例、失敗例を共有し、新しい技術者と市民のふれあいの場を提供していきます。
 最後に、情報収集と提言事業においては、海外を含めた次世代技術者教育の動向や幼児に対するIT教育の動向や効果に対する調査・研究を進め、成果を提言としてまとめます。英国などでは、すべての小学生にMicro:bitと称する1ボードマイコンを配布し、IT教育の刷新を図っております。これらを、現地調査するとともに、さらに低年齢の幼児期におけるIT教育の可能性と限界について情報収集、研究します。また、これらの一連の活動を小説化し、技術に関心の少ない一般市民に対しても、本NPOを認知してもらう活動を行います。
 これまで、本NPOの理事は、任意団体や企業において、部分的な活動を行ってきましたが、解決すべき課題が、一つの企業の中でとどめておくべきものではないこと、世代を超えてアイデアを持ち寄り、効果を研修する必要があることを鑑み、特定非営利活動法人の設立が望ましいと考えています。
 皆様のご理解と幅広いご支援をお願いいたします。

​                                    中島啓介

設立趣旨
理事長挨拶

 私は民間企業で、28年間研究所での開発業務の後、12年間企業の中の教育機関で若い技術者とともに情報技術を中心に学びを深めてきました。学生たちとは、「やり方を変える、ルールを変える」を合言葉に、いままでのやり方をどうすれば変えられるか、それを阻むルールをどうすれば変えていけるかについて、いっしょにチャレンジさせていただきました。そして様々な観点で、学生たちとアイデアを出し合いながら、試行錯誤しながら、一つ一つ実現することができました。それは緊張感あふれる時間の共有であり、楽しいで間でした。協力いただいた学生たちに心から感謝しております。

 今回NPO法人を立ち上げるにあたり、法人の略称をPLATON(プラトン)とさせていただきましたが、これは学生たちと一緒に開発した情報基盤のニックネームに由来しております。この名称に関して、少し紹介させていただきたいと思います。

 プラトンは、ソクラテスの弟子です。ソクラテスといえば、哲学に詳しくなくても、ギリシャの哲学者、「汝自身を知れ」などのキーワードを思い浮かべる人は多いでしょう。ソクラテスがいた当時のギリシャでは、ソフィストと呼ばれる知識人たちが、膨大な知識と詭弁によって、「普遍的な真理」など存在しないと主張していました。彼らは、大勢の前の演説を好みました。これに対し、ソクラテスは、自分が無知であることを知って、何が真理で何が真理でないのかを識別し、正しく追求していけば真理に至ることができるはずだと考えたわけです。そして、一対一の対話術で、多くの若者の心を開きました。しかし、世間からは「青年に害毒を与える」として迫害・弾圧を受けましたが、それに屈することはありませんでした。

 私は、この哲学者のやり方は、現代にも通じると考えました。従来の知識偏重のやり方に対して、対話的に、粘り強く、手を動かしながら、真理つまり、技術の原理原則に近付いてもらうための教育が求められています。このソクラテスの精神を受け継ぎつつ、次の時代に展開するために、ソクラテスの、その後に興味を持ちました。真理を自覚する方法しか示せなかったソクラテスに対し、プラトンは具体的な答えを用意しました。つまり、「知性」によって真理を認識できると考えたわけです。そして知性つまり、ものを考える力をつけさせるために、学園「アカデメイア」を創立し人材育成に励んだそうです。新しい教育方法を考える上で、参考になる点があると思いました。原理原則がわかるだけでなく、自分の力で考え、新しいものを作り出す力を養うには、プラトン的なアプローチが必須と思い、NPOの略称をプラトンと命名させていただきました。

​ 新しいやり方で、一緒に国をも動かす人材を育成していきましょう。

​                              中島 啓介

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